経営数字の変動に疑問を持ち続ける

人間の脳は、興味関心を持つものや、

問題意識を抱いているものに対して

無意識にアンテナを張り、その情報を探し、

答えを見つけるようになっているそうです。

 

例えば、家電量販店やスーパーなどの

折り込みチラシを見るときでも

取り立ててほしいものがない場合、

商品がぎっしりと並んだチラシのなかから、

特定の商品に目がとまることはまずありません。

 

しかし、たとえば電子レンジの買い替えを

検討しているような場合、

不思議と電子レンジが

目に飛び込んでくるのです。

 

これは経営数字でも全く同じです。

 

数字は言葉を発することはありませんが、

見るものに何かを訴えかけています。

その数字の声なき声に耳を傾け、

問題点を見つけ出せるようになれば、

経営が面白くなってきます。

 

財務諸表などの経営数字の分析手法には、

対前期比較や計画対比で数字の変動を

キャッチしたり売上や利益の推移で成長性を

分析するなどさまざまな方法があります。

 

しかしそうしたテクニックを知らなくても、

試算表を毎月見ていれば、

次第に数字の変動が

目に飛び込んでくるようになります。

 

「数値の変化に疑問を持ち、

いかに的確に問題を見つけることができるか」

この一見簡単なことが、

実は会社再建の最も重要なカギなのです。

 

『別会社を使った究極の事業再生』椢原浩一 著 幻冬舎より一部引用

 

経営を行う上で毎月、試算表の数字を

見ると思います。

 

私は顧問先の経営者様と毎月業績や

経営課題ついて議論するときは

必ず「1人当たりの粗利益額の表」を準備します。

 

売上総利益を従業員数(パートは0.5換算)で

割った数値がいくらであるのか。

毎月最低70万円、できれば100万円以上が理想です。

 

例えば、売上が5億円で粗利益が

1億5,000万円の会社が存在すると

仮定します。

決算書上の数字だけ見れば、

粗利益が1億5,000万円がわかります。

 

しかしその数字のみでは、

生産性が高い会社かどうかの判断は

難しいです。

 

従業員数が15人で

1人当たりの粗利益額が約83万円出てるのか。

それとも従業員数が10人で

1人当たりの粗利益額が125万円出てるのか。

 

毎月1人当たりの粗利益額を把握すると、

さらに分解して商品ごと、サービスごとの

粗利益率を意識するようになります。

 

意識すると経営課題や経営戦略のヒントが

見つかります。

 

経営を行う上で

どうしたら1人当たりの粗利益額を上げられるか

という視点を持つことが大切です。